線形代数をわかりやすく(6) 部分空間
はじめに
本記事は線形空間論の勉強をしたまとめです。 私の理解が誤っている可能性がありますので、その際は優しく指摘していただけると嬉しいです。
部分空間
大した話ではない。 大きな線形空間の一部を切り出したときに、それも線形空間になっているという都合のいい状況の話を今後したいから、それに名前を付けておこうというだけである。
定義
集合が
の和とスカラ倍に関して線形空間であるとき、
を
の部分空間と呼ぶ。
定理
が
の部分空間であることは、以下の3条件が満たされることと同値である。
が空集合出ない
が
の和について閉じている
が
のスカラ倍について閉じている
部分空間の幾何学的な解釈もそこまで難しくない。
例えばとすると、原点を通る直線や平面、あるいは
自体が
の部分空間になる。
ポイントは原点を通ることと、まっすぐな空間であること。 平面のようにまっすぐな空間だとしても原点を通らなければ部分空間ではないし、原点を通っても曲面のような空間ならば部分空間ではない。
また、の原点(つまりゼロベクトル)は
でも原点(ゼロベクトル)になることも忘れてはいけない。
部分空間の基底の延長
定理
は
の部分空間とする。
の基底を
とする。
このとき
の取り方によらず、
が
の基底となるようなベクトルの組
が必ず存在する。
の部分空間である
平面を考えた場合は、
平面の基底と
軸方向のベクトルを合わせれば
の基底になる、というだけである。
簡単な話ではあるのだが、線形写像の次元定理導出のための重要なピースになる。